冬季調査

もう2017年も終わろうとしていますね。

 

今回は、先日の記事と被る部分もありますが、冬の調査について少しだけお話しさせて頂きます。

 

冬に入り、昆虫類など生きもの達と出会う機会は減る印象にありますが、
逆に冬だからこそ・冬でなければ出会えない生きもの達も沢山います。

その為、冬季も頻度は減りますが、生物調査を進めています。
今回はその中から、水の中の生きものについて。

 

「水の中で食らす」というと、“魚類”が一番に思い浮かぶかもしれませんが、
その他にも様々な生きもの達が暮らしています。
ヤゴなどの水生昆虫もその一つです。

水生昆虫の多くは、
夏には成虫として飛び回り、冬は水中で卵や幼虫で過ごしていたりします。
その為、冬じゃないと捕獲できなかったり、しにくい種がいたり、種を判別するのが難しい種もいたりします。

 

そうなると、冬にも調査に入る必要があります。
冬に川や池に入るのは、防寒対策をしっかりしていても決して寒くないとは言えません。
しかし、沢山の生きものに出会えると思うと、そんなことは気にならなかったりもするから不思議です!笑

 

 

そして、水生生物調査では、寒空の下で捕獲して終了!というワケにはいきません。
多くの場合は室内に戻って、仕分けをして、種を特定して、、、
その確認種から、水辺にどのような環境があるのか水生生物達に教えて貰います。
そして、そこから今後の管理方針や創出すべき環境要素なども考えていきます。

 

 

“どんな環境を創出するのか?残すのか?”
などを考える時は、まず初めにその場所の環境の現状がどうなっているのかをしっかりと把握する必要があります。
その為には、調査は欠かせないことです。
これは、規模の違いはあっても、山地を流れる河川でも、都市部の学校ビオトープでも、どこでも変わらないことだと思っています。

 

 

今回は、先日にFacebookでもご紹介させて頂いておりましたが、いくつかある水生生物調査の手法から、「定量調査」と「定性調査」について少しご紹介させて頂きます。

 

【定量調査】
範囲(50cm×50cmの方形枠)や回数を決めて、生きものを含む落ち葉や泥などの堆積物も全て採集します。
その後、室内に持ち帰りその中を“生物”と“無生物”に仕分けしていきます。
これで分けられた生きものを、顕微鏡などを用いて同定し、個体数も計数します。
これによって、その環境にどのような生きものがどれくらいの数暮らしているのか?
また、季節や年ごとにどのように変化していくのかなどを比較することができます。

 

【定性調査】
生きものを採る範囲や回数を決めず、生きものを任意に採集します。
何匹捕れたのかは数えず、確認された種名のみを記録。
どのような生きものがその環境で暮らしているのかを全体的に把握する際に用います。

 

 

より正確なデータを取る為には、定量調査の方が適していますが、
その分、室内で生物と無生物を分けるソーティング作業があるなど、分析に時間がかかる関係から一つの場所の調査にかかる作業量は多くなります。
その為、多くの場所の環境を把握する場合には、定性調査で行われることも多くあります。

 

 

今年度は、どちらの調査もあり、一ノ割のOfficeでの分析作業も多めでしたが、何とか一段落してから年を越せそうです。

まだ、冬はこれからですが、1年を通してそれぞれの季節ごとの楽しみ方をしたいですね♪

BIotop Guild

「人と自然の繋がり」「人と人との繋がり」を深め、
自然環境に対する意識や考え等を変えていきたい・変わっていきたいという想いで設立しました。

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